Salesforce Lightning Design System - LDS1からLDS2への移行 -
Salesforce Lightning Design System (SLDS)は、Salesforceプラットフォーム上のUI開発を標準化するために進化してきました。LDS1からLDS2への移行は、主にデザインの刷新と技術的なアーキテクチャの変更という2つの大きな経緯によって引き起こされました。
デザインの刷新:新しい「Cosmos」テーマ
LDS2への移行の最も目に見える変化は、新しいSalesforce Cosmosテーマの導入です。これは、LDS1のテーマである「Lightning Blue」からの大幅なアップデートです。
よりモダンで親しみやすい外観: Rounded corners(角丸)、最適化されたスペーシング、そしてコントラストの改善により、UI全体がより柔らかく、目に優しくなりました。
アクセシビリティの向上: コントラストの強化は、視覚障害を持つユーザーにとっての可読性とアクセシビリティを大きく向上させました。
一貫性の強化: すべてのUI要素にわたる統一された外観と振る舞いを実現し、ユーザーエクスペリエンスの一貫性を高めています。
このデザインの刷新は、SalesforceのUIを時代に合わせて進化させ、より魅力的で使いやすいものにするための取り組みの一環です。
技術的なアーキテクチャの変更:スタイリングフックの導入
デザインの変更だけでなく、LDS2は技術的な基盤も大きく刷新しました。これは、開発者にとってより柔軟で強力なカスタマイズを可能にするための重要なステップです。
デザイン変数からの脱却: LDS1は**デザイン変数(design tokens)とスタイリングフック(styling hooks)の混合でしたが、LDS2ではスタイリングフック(CSSカスタムプロパティ)**に完全に移行しました。
分離されたアーキテクチャ: スタイリングフックにより、コンポーネントの構造(HTML)と視覚的なデザイン(CSS)が完全に分離されました。これにより、開発者はSalesforceの標準コンポーネントのレイアウトや機能に影響を与えることなく、色やフォントといったデザイン要素を簡単にカスタマイズできるようになりました。
将来性への対応: スタイリングフックのアーキテクチャは、ダークモードなどの将来的な機能や、より高度なブランドカスタマイズに道を開くものです。
この技術的な変更により、「Pro-code control, no-code design」(コードで制御し、デザインはコード不要)という新しいアプローチが促進され、開発者とデザイナーの両方にとってより効率的なワークフローが実現されました。
LDS2への移行は、SalesforceがUI/UXを継続的に進化させ、ユーザーと開発者の両方に最高の体験を提供するための戦略的なステップなのです。